先日、「めふく」にて、レコーディングでお世話になっている、マスタリングエンジニアの田中さんをお迎えして「田中塾」を開催しました。
田中さんは、音楽業界の巨匠と言われ、アーティストの方々から絶対の信頼のある方で、山口百恵、吉田拓郎、奥田民生など、有名なアーティストのCDを数多く手がけられています。
70歳を目の前にして、ご自分の知識や技術を少しでも伝えたいとおっしゃっていたので、お世話になっているお礼として、今回の田中塾を企画させていただきました。
関西のスタジオのエンジニア、エンジニアを目指す学生さん、アレンジャー、ミュージシャンが集まり、6時間にも及ぶ講義となりました。
質問コーナーでは、猫のめーちゃんも質問していました。(笑)
講義の内容は、百恵ちゃんのレコーディング秘話から、機材の回路図、歌詞の世界のことなど幅広く、密度の濃い時間となりました。
何事も究極まで追求する姿勢が「巨匠」と言われる理由なのだということがわかりました。
翌日は、京都を案内をしました。
この時期の観光地はどこも人ごみなので、めふくからほど近い穴場、大徳寺の高桐院へ。
町家旅館に泊まられた田中さんをお迎えに行き、世界遺産の下鴨神社の糺の森を散歩してから向いました。
緑の苔の上に散りばめられた真っ赤な紅葉とのコントラストが美しく、1歩ずつ変わる景色にため息が出ました。
竹林が織りなす光と影。
自然と人とが作り出した造形美が見事に調和しています。
音作りの答えも、ここにあるような気がします。
庭園が教えてくれること、田中さんが教えて下さること、どちらも共通していることに究極を感じました。
お昼少し前、ちょうど日射しが紅葉の上に。
グラデーションの紅葉が真っ青な空に透けて、それはそれは綺麗でした。
まるで、西陣織の着物を見ているような芸術作品。
帰りには、陽射しの位置が変わり、同じ景色はみられませんでした。
高桐院の庭は、苔と紅葉、そしてたった一つの灯籠。
石なども無く、苔と紅葉を干渉する女性的な庭。
それ以上削ぎ落すものもなく、それ以上必要なものもなく、自然が作る美を大切にしていることが伝わってきます。
こんな世界を音楽で表現できたらいいなぁ。
庭を後にして、今宮神社であぶり餅を食べて一休み。
その後は、スタジオに戻り箏をレコーディングする時のマイクの位置などいろいろ教えていただきました。
田中さんが技術を通して、磨いてこられた感性と心。
私の心と感性を伝えるために必要な技術。
それぞれの立場で目指すものは「良い音楽」。
みなさんに、早くお届けできるように頑張ります!